M&Aを成長手段として機能させるには、個別案件の巧拙だけでなく、社内の仕組みとして「機会を取りこぼさない受け皿」と「戦略に沿って機会を作る動き」を両輪で回すことが重要です。本ページでは、①「受動」体制の構築(案件の受領・初動整理・一次判断)と、②「能動」的アプローチの推進(ターゲット探索・接点づくり)を、実務の観点から整理します。
「受動」体制とは
「受動」体制とは、持ち込まれる案件情報を受け取り、初動で論点を整理し、適切な判断につなげるための運用設計です。
メリット
- 受領から一次判断までのスピードが上がる
- 社内の検討負荷が平準化し、判断がぶれにくくなる
- 情報提供者との信頼が積み上がり、結果として案件情報が集まりやすくなる
留意点
- 受領窓口が曖昧だと、案件が埋もれたり検討が遅れたりしやすい
- 一次選別の観点が固定されていないと、案件ごとに議論が振り出しに戻る
- 見送り時の説明が雑になると、将来の機会を失いやすい
「能動」的アプローチとは
「能動」的アプローチとは、狙う領域と対象像を定め、候補企業を探索し、対話を起点に機会を作るための運用設計です。
メリット
- 戦略上重要な領域の機会を、待つのではなく作りにいける
- 探索、優先順位付け、接点づくりが型化され、再現性が高まる
- 提携など複線も含めた関係構築ができ、選択肢が増える
留意点
- 狙う理由や条件が曖昧だと、探索と接点づくりが形骸化しやすい
- 候補を広げすぎると、運用が続かず途中で止まりやすい
- 「受動」体制が弱いと、「能動」の活動に社内の余力が回らない
進め方(おすすめの順序)
この二つを同時に回すことで、M&Aの検討と実行に再現性が生まれます。おすすめの順序は次のとおりです。
手順
- まず「受動」体制として、受領窓口と一次選別の型を整える
- 次に、優先領域を1〜2テーマに絞り、「能動」の探索を試行する
- 定例運用(隔週または月次)で改善し、両輪を回す
よくあるつまずき
「受動」に偏ると起きやすいこと
- 重要領域の機会がなかなか来ない
- 案件フローが少なく、判断が歪みやすい
「能動」に偏ると起きやすいこと
- 狙う理由と条件が定まらず、接点づくりが刺さらない
- 案件ごとに論点整理がゼロからになり、社内が疲弊する