結論
- IFRSでは、株式をFVTPLで保有すると、保有中の公正価値変動がPL(損益)に反映され、損益のボラティリティが出やすい。
- J-GAAPの「その他有価証券」では、保有中の評価差額はOCI(その他包括利益)に乗り、売却時にPLへ組替(リサイクリング)される。
- 投資先の持分移動(持分法喪失など)では、IFRSとJ-GAAPで損益・OCI・資本の出方が変わるため、分類とイベント(売却、支配・影響力の変化)を前提に整理するのが実務的。
要旨
ソフトバンクグループ(SBG)が行った株式ポジションの変更を題材に、IFRSと日本会計基準(J-GAAP)で、株式売却や持分移動時の損益認識がどう変わるかを整理する。具体例として、①エヌビディア株の売却(FVTPL)と、②アリババ株の一部処分に伴う持分法喪失(持分法→金融資産)を取り上げ、PL(損益)・OCI(その他包括利益)・資本のどこに影響が出るかを確認する。
この資料で扱うポイント
- SBGのエヌビディア株売却を、IFRS(FVTPL)で見たときの損益認識の考え方(期末公正価値と売却価額の差がPLに反映)。
- IFRS 9における株式の分類(デフォルトFVTPL、必要に応じてFVOCI指定)と、PLが「平準化」されやすい構造。
- 同じ株式売却でも、J-GAAPの「その他有価証券」なら、保有中は評価差額が純資産(OCI)に乗り、売却時にPLへ組替(リサイクリング)される点。
- 投資先株式に関する持分移動(持分法・連結・支配喪失等)で、IFRSとJ-GAAPの差が出る論点(公正価値の使用時点、損益/OCI/資本の出し先、みなし喪失日の扱い、NCI測定など)。
- アリババ株の事例では、有意な影響力の喪失(持分法中止)時に、IFRSでは残存持分を公正価値で再測定し、差額をPL(再測定益)として顕在化させる点。
目次
- 1. 取り上げる2事例と検討の狙い
- 2. 事例①:エヌビディア株売却(FVTPL)の会計インパクト
- 3. IFRSとJ-GAAPの比較(持分移動・公正価値・PL/OCIの違い)
- 4. 事例②:アリババ株(持分法喪失→金融資産)と再測定益
- 5. 実務上の読み方(PLの出方・ボラティリティの見え方)
用語
- PL:損益計算書で認識される損益
- OCI:その他包括利益(評価差額などが出る領域)
- FVTPL:公正価値変動をPLで認識する区分
- 持分法:関連会社などを持分法で処理する方法
- 持分法喪失:影響力の喪失により会計処理が切り替わるイベント