公開買付け(TOB)と自己株取得併用スキーム[特別委員会が担保する公正と税後同等化の実務]

結論

  • TOBと自己株取得の併用は、法人株主に生じ得るみなし配当などの税務上の取扱いを踏まえ、株主属性による税負担差を調整して、実質的な税後同等化を狙う実務上の設計である。
  • 二価格設計(TOB価格と自己株取得価格の差)は、税効果とプレミアム配分の考え方を整理して説明するための設計であり、算定根拠・前提・感応度を含めた説明が重要である。
  • 利益相反が強い局面では、特別委員会を軸に、独立FA、フェアネス・オピニオン、MoM、必要に応じたマーケットチェック等を組み合わせ、手続的公正を担保することが実務上の要点となる。

要旨

上場会社取引で用いられる「TOB+自己株取得」併用スキームについて、法人株主の税務(みなし配当の益金不算入)と、公正M&A指針が求める手続的公正(特別委員会、独立FA、フェアネス・オピニオン、MoM、マーケットチェック等)を踏まえ、近年の実務がどのように「二価格設計(TOB価格>自己株取得価格)」と「税後同等化」を説明しているかを整理する。

この資料で扱うポイント

  • 法人株主が自己株取得に応じることで、みなし配当の益金不算入が適用され得る点と、これを踏まえた併用スキームの基本構造。
  • 公正M&A指針が示す、構造的利益相反が強い取引での“手続の公正”確保(特別委員会の監督、独立FA、フェアネス、MoM、マーケットチェック等)。
  • 過去10年の併用事例は限定的だが、公正M&A指針以降の案件では、特別委員会等の公正性担保策を組み合わせ、かつ二価格設計(TOB価格>自己株取得価格)と税効果の織込みが明示される傾向。
  • 二価格設計の趣旨:税務前提を踏まえて「税後ベースの公平(税後同等化)」を説明しつつ、法人株主の税効果価値を一般株主のTOBプレミアムへ移転し得る点。
  • なぜ併用するのか:買収資金の最適化、不応募合意+開示による制度整理、分母縮小による持分上昇、全量処理確保(按分回避)など。

目次

  • 1. 併用スキームの基本構造(みなし配当・益金不算入)
  • 2. 公正M&A指針と特別委員会が担保する手続的公正
  • 3. 併用事例(過去10年)と「二価格設計」の整理
  • 4. なぜTOB価格と自己株取得価格に差を設けるのか(税後同等化)
  • 5. なぜ併用するのか(資金・制度・成立確度の観点)

用語

  • 公開買付け(TOB):市場外で、不特定多数の株主から株式を買い付ける手法。買付条件(価格・期間等)を公告して実施する。
  • 自己株取得:会社が自社株を株主から取得する取引。株主側の課税関係が、配当・譲渡の要素に分解される場合がある。
  • みなし配当:株式の売却代金のうち、資本の払戻し等に対応しない部分が配当とみなされる取扱い。法人株主では益金不算入が論点になり得る。
  • 税後同等化:株主属性や課税関係の差を踏まえ、最終的な税後手取りの公平性を意識して価格差等で調整する考え方。
  • 二価格設計:TOB価格と自己株取得価格に差を設け、税効果やプレミアム配分を整理して説明可能にする設計。
  • 特別委員会:利益相反のある取引で、取引条件の妥当性や交渉過程の公正性を検証し、取締役会の判断を補強するための委員会。
  • フェアネス・オピニオン:提示条件(価格等)が財務的観点から妥当といえるかを示す意見書。前提とレンジの開示が重要。
  • MoM(マジョリティ・オブ・マイノリティ):利害関係のない少数株主の過半数同意を条件とし、手続的公正を補強する枠組み。

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